若い人(学生)に読んでほしい本 ■■■是非チャレンジしてみて下さい■■■
その1
宇野弘蔵他著
「資本主義 その発達と構造」
戦後日本の経済学のなかでその体系性において他を凌駕し、最大学派を形成した宇野経済学。「原理論」-「段階論」-「現状分析」の三段階論はあまりに有名であるが、その完成品からは経済学のダイナミズムはうまく伝わらないのではないかと思う。
そこでお勧めなのが本書である。あらゆる社会に存在する労働、生産過程はそのままで経済学の対象になるわけではない。例えば中世では経済行為といえども、身分社会に基く経済外強制が強く作用し、決して経済学的に解明されうるものではない。
経済学が科学として成立するのは、経済行為が純粋に経済的に行われることが一般化した資本主義社会においてである。そこでは経済行為が支配−服従のような経済外強制から解放され、商品を購入して商品を生産、販売するという商品形態が社会を律するものとなるのである。いいかえれば、「自由」と「平等」のもとに、経済過程が純経済的に実現する社会によって初めて経済学が科学として成立する基盤が与えられたのである。
そして、経済学の原理論は、その自律が最も純粋に展開される「純粋資本主義」を対象としなければならない、とするのが宇野先生の考えであるが、そういった純粋資本主義は現実の歴史のなかでは決して存在しないものであったが、しかし、だからといって決して観念的なものでもない。
19世紀のイギリス資本主義はある程度まで、資本主義の発展がこれまでの残滓を払拭しながら、純粋化するという歴史的傾向をもっており、こういった傾向を抽象することによって得られるとするのが宇野経済学の重要な方法論の基礎にあるのだが、この点を、簡潔に展開している点で本書は特徴的な書籍といえる。したがって、本書は経済学の入門書であると同時に経済学を一通り学んだ後に、経済学とは何んであり、何であるべきかをもう一度考えさせる良書でもある。
後書きで大内力先生(現東大名誉教授)が「本書は『経済政策論』の前に読まれるべきもので、『経済政策論』の後でまた読まれるべきもの......『経済原論』と併読されるべきもの」と書いていることは納得できるもので あろう。
経済学といえば、何か微分や方程式など数値計算と考える人が増えているなかで、経済学の醍醐味を十分に味わえる良書である。
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