継体天皇ゆかりの地を訪ねて(3) 〜弟国( 長岡)/磐余( 桜井)
 継体天皇即位1500年
 

第3の宮 弟国

 518年、継体天皇は筒城宮から弟国宮(おとくにのみや)へ遷宮します。3番目の宮になります。宮跡の推定地は、現在の京都府長岡京市今里付近と考えられています。具体的には乙訓(おとくに)寺やそれに隣接した長岡第三小学校付近とされています。
 乙訓は、長岡・向日・大山崎地域を指す地名で、古くは「弟国」と記されていました。弟国の地名は、諸説ありますが、葛野(かどの)郡から分離して新しく郡を作るとき、葛野を「兄国」とし、新しい郡を「弟国」としたことに由来すると考えられます。
 
 乙訓寺周辺地域からは、弥生時代から古墳時代にかけての遺跡が広範囲に発見されていますが、弟国宮に繋がる遺構の発見はなく、その正確な場所はわかっていません。これまでのように石碑も説明板も全くありません。跡地の候補地 の一つである乙訓寺はボタンの花でも有名ですが、この寺は、推古天皇勅願により聖徳太子が伽藍を建立させたのが始まりとされています。また、長岡京から平安京へ遷都する原因といわれている桓武天皇の皇太子早良親王が幽閉された寺として知られています。
 785年(延暦4年)9月、長岡京造営工事の責任者の藤原種継が何者かに射殺され、事件の黒幕として皇太子(桓武弟)早良親王が逮捕されここに幽閉、皇太子は無実を訴え食を断ち餓死し、この怨霊問題で平安京への遷都となるわけです。怨霊問題はその後永く公家社会を悩ませることになります。
 場所は、阪急電鉄京都線の長岡天神駅で下車し、徒歩15分ほどの距離です。車で行かれた場合は乙訓寺の駐車場に停めて、小学校も含め附近一帯を散策するといいでしょう。ただ進入道路が狭いのが難点です。
 

▼乙訓寺境内 ▼長岡第三小学校
地図


 ところで、筒城宮でヤマトに近づいた継体天皇が、弟国というヤマトから遠い地点に宮を移したということは、依然としてヤマトには継体天皇に敵対する勢力が存在したためとの推測も可能ですが、地図でみると弟国はもう一つの水系、桂川を押さえる場所にあり、淀川(樟葉)、木津川(筒城)、桂川(弟国)と計画的に水運を支配していったことがわかります。継体天皇からすれば予定したとおりの拠点づくりだった可能性が高いと考えられますが、いかがでしょうか。

ヤマトの宮 磐余
 
 三大水系を完全に押さえた天皇は、いよいよヤマトに宮を築くことになります。これが磐余玉穂宮(いわれのたまほのみや)です。即位から実に20年目、526年のこと とされています。
 磐余は飛鳥に隣接する奈良県桜井市の南部地域のことをいいます。磐余玉穂宮の所在地は、その桜井市池之内付近とされています。
 磐余は、神功皇后、履中天皇が都を置いた磐余稚桜宮(いわれのわかざくらのみや)が置かれたところでもあり、息長氏を出自とする継体天皇にとって、神功皇后ゆかりのこの地こそヤマトでの宮にふさわしい場所であったのかもしれません。
 ここには磐余池という大池があったとされ、池のほとりに磐余稚桜宮、磐余玉穂宮の他に清寧天皇の磐余甕栗(みかぐり)宮、用明天皇の池辺雙槻(なみつき)宮なども営まれたと伝えられ ています。
 ただいずれの宮跡も特定はされていませんが、伝承は残っています。磐余稚桜宮は稚桜神社に、磐余玉穂宮はそこから西南に300m離れた地点に、地元の人達が「おやしき」と呼ぶ小高い丘があり、これが継体天皇の宮跡とされているわけです。もちろん伝承の域を出ず、考古学的に根拠づけられているわけではありません。
 

▼稚桜神社 ▼池内附近(左後方磐余玉穂伝承地)
地図

 なお磐余稚桜宮は桜井駅の南に位置する若桜神社とする説もありますが、ここではこれ以上この問題に立ち入らず、早速稚桜神社に行ってみましょう。明日香村に通じる県道15号を農業大学校を目印に南に向かうルートがわかりやすいでしょう。樹木が台風で倒れ、丘の上の社殿が遠くからでも見えますので、そう迷うことはありません。参道は丘の西側にあり、白木の鳥居の脇に「式内稚桜神社」と刻んだ大きな石柱が立っています。「稚桜」の由緒は、この地が履中天皇の磐余稚桜宮で、その東に池(磐余池)があったからという趣旨の説明板があります。丘の上からの見晴らしも良く、そこから西南方向を眺めていると自然に継体天皇が思い浮かんできそうで す。
 しかし、遷宮の翌年、筑紫国造の磐井(いわい)が反乱を起こします。天皇は鎮圧のために大連の物部麁鹿火(もののべのあらかい)を派遣してこれを平定するも、遷宮から5年後この地で崩御します。波乱に満ちた治世でありました。
 

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(初出 「福井商工会議所報」Chamber 2007年1月号) 一部加筆しています
Copyright (c) 2006 H.Okuyama. All rights reserved.
撮影2006年11月、12月

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