京キ・お茶の歴史探訪(建仁寺、高山寺、宇治)
2003年11月の紅葉は京キで楽しみました。でも紅葉には一週間早かった感じで、少し殘念です。今回は紅葉だけでなく、お茶の歴史探訪も目的の一つ。
先日「管領家斯波氏」のコーナーに「斯波氏の朝日茶園」に関する記事を掲載し、また高校の同窓会会報編集部からの依頼により「お茶の習慣と斯波氏の茶園」と題して随筆じみた小稿を書いた縁で、宇治の斯波氏茶園だけでなく、お茶のふるさとを探訪してみたくなったのです。
さて、日本のお茶の歴史に必ず出てくるのが、建仁寺栄西禅師と高山寺明恵上人です。
先ずは栄西禅師ゆかりの建仁寺に行って見ましょう。
栄西禅師は備中(岡山県)出身で臨済宗の開祖です。幼くして仏教を学び、二七歳の時に宋へ渡り禅宗への理解を深めたといわれます。この時は五ヶ月の滞在で帰国しますが、十九年後に宋を再訪し首都臨安で学び、帰国に際し、逆風で 船が流され浙江省瑞安に上陸。これがきっかけとなりそのまま天台山万年寺や天童山景徳禅寺で学び、建久二年帰国しています。
この際に、茶の種を持ち帰ったといわれ、栄西は布教とともに、茶を背振山に植えるなど茶の栽培も積極的に行っていたのです。
その後、鎌倉に下り二代将軍頼家の帰依と庇護を受け、元久二年京都に建仁寺を建立し、布ヘの土台を築きました。
この建仁寺は越前朝倉氏や若狭武田氏とも関係が深いのですが、そのあたりは「分館・越前朝倉氏」や「分館・若狭武田氏」に委ねるとして、お茶ゆかりの遺蹟を見てみましょう。
建仁寺と言えば建仁寺垣ですが、境内をみると竹垣ならぬ茶の生垣で埋めつくされています。 ちょっと驚きです。また開山堂近くには、栄西を記念した「茶碑」が建てられております。 茶碑の裏手は茶園になっています。
▼建仁寺垣 ▼栄西の茶碑 ▼茶園 ▼茶の生垣 (注)建仁寺垣は江戸時代に入ってから流行した竹垣で、完全に視界を遮断したい時や、ちょっとした目隠し等に広く使われる隙間のない竹垣である。
栄西は日本に茶を広めるため、その薬効を『喫茶養生記』として書き残していることはご存知のとおりです。
その建仁寺に栄西を訪ねて行ったのが、高山寺を中興した華厳宗の明恵上人です。この明恵上人こそ、日本で茶の普及に良く貢献した人 とされています。
栄西禅師は宋から持ち帰った種を明恵上人に贈りましたが、上人はこれを京都栂ノ尾高山寺に植え るとともに、喫茶の効能を認めて、さらに宇治に移し植えたのです。
ここからお茶の興驕Aさらに今に続く宇治茶の歴史が始まります。従って、栂ノ尾は宇治茶発祥の地ともいえるのです。
それでは次に、今回の京キ訪問の目的である紅葉観賞をかね、世界遺産となっている明恵上人の高山寺に行って見ましょう。
高山寺には高雄の入り口で車を停めて散策がてら向かいました。さすがに紅葉シーズンだけに観光客で一杯です。
道中に「栂尾茶園」の大きな石碑が建っています。
明恵上人が栄西禅師からもらった茶の種は3粒、上人はこの種を高山寺の川向の深瀬に植え、それがさらに植え替えられ、現在も高山寺境内に「日本最古の茶園」として 、石碑とともに残っています。
日本最古の茶園は、最澄が近江坂本日吉神社に植えたものとする見解もありますが、ここではそんなことは気にせずに、折角ですから国宝「石水院」を見てみましょう。見事な景色です。
▼最古の茶園碑 ▼高山寺茶園 ▼高山寺境内 ▼明恵上人廟 ▼国宝石水院 ▼石水院からみた紅葉 この高山寺は「鳥獣人物戯画」でも有名なところです。
さてその後、栂ノ尾における茶の栽培は非常に盛んになり、宇治に普及するまでは茶の名産地といえば栂ノ尾でありました。
その栂ノ尾のお茶を宇治の駒蹄影園(こまのあしかげえん)に植えたのも明恵上人です。お茶の植え方を知らない村人に、馬を歩かせ、その蹄跡に茶を植えるように教えたことから、「こまのあしかげ」の名が残りました。
今度は宇治に足を延ばしましょう。お茶の普及には武家政治と足利幕府、将軍足利義満や管領斯波義将も深く係わり「宇治七茶園」の誕生となりますが、ここでは省略し、宇治茶園の起源ともいうべき「駒の足影」の碑を見てみましょう。
この碑は黄檗宗万福寺の総門前に明恵上人の歌碑としてあります。『栂山の尾の上の茶の木分け植えて跡ぞ生うべし駒の足影』と詠まれています。
最後に七茶園の一つ斯波氏の「朝日茶園」跡にある興聖寺を紹介しておきましょう。 興聖寺は宇治川右岸の朝日山山麓にあった朝日茶園 の地を買い取り建立された曹洞宗の禅寺です。楼門にいたる坂道は「琴坂」と呼ばれ、これまた紅葉で有名なところです。
▼「駒の足影」の碑 ▼興聖寺境内 宇治のメインイベントである十月の「宇治茶祭り」では、毎年「七茶園」ゆかりの興聖寺で茶事が催されます。
興味を持たれた方は「管領家斯波氏/斯波氏の朝日茶園」も参照下さい。
宇治興聖寺関係はそちらに記載してあります。
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撮影2003.11
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