福井金融界の覇王破綻
 
九十二銀行突然の休業発表


●九十二銀行の支払停止

越前福井の株式会社九十二銀行(資本金四十万円、内三十万円払込済)は松平侯爵以下旧藩士の設立に係り、一時世上の信用厚く預金も多かりしが、去る明治三十三年生糸暴落の際、約二十万円の滞貸を生じ、為に非常の打撃を受け、預金の取付を蒙り、纔に現任頭取石田磊氏の信用に拠りて今日迄営業を維持し来りしも社会の信用旧の如くならず、然るに石田頭取は二箇月前より病気の為め業務を見ること能はざりし結果、終に資金の運転に窮し十一月二十日より向ふ二週間臨時休業の旨発表し、其後本月十七日迄休業を延期して整理中なり
(「銀行要録」明治四十年十二月第二六六号)
 

 

九十二銀行休業続報 (1)

●九十二銀行の紛擾

過般支払を停止したる福井九十二銀行にては、一月十五日株主定時総会を開きたるに、議論百出して非常の紛擾を極め、結局十名の検査員を挙げて欠損の当否を調査せしむることとなれり。
(「銀行要録」明治四十一年二月第二六八号)

●九十二銀行休業延期

福井九十二銀行にては、二月十三日臨時総会を開き、整理委員十一名を選挙し、一月十五日総会に於て選挙せる検査員十名と、相待て整理に当らしむることとなり、更に本月一日より三十一日迄、一箇月間休業延期の旨発表せり
(「銀行要録」明治四十一年三月第二六九号)

●九十二銀行破産決定

昨年十一月支払を停止し爾来引続き整理中なりし福井九十二銀行は、其後長野県信産銀行より破産を申請せられ六月十七日福井地方裁判所に於て愈々其宣告ありたり
(「銀行要録」明治四十一年七月第二七三号)

●九十二銀行破産取消
福井九十二銀行にては予め同地方裁判所の下したる破産の決定に対し名古屋控訴院に抗告中の虞、愈々九月十一日を以て第一審の決定を取消し、信産銀行の破産申請を却下する旨宣告ありたり。
然るに右決定取消の結果、従来破産管財人が取立てたる未払株金及貸附金等は一先取立先へ返戻することとなり、為に重役の目算大に齟齬し、債権者中には再び破産を申請せんとて種々協議中なり
(「銀行要録」明治四十一年十月第二七六号)


 

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注1:掲載にあたり一部句読点を補充、また旧字体を新字体に置換しております
注2:団体発行物の著作権は発行後50年です。明治期の著作権はすでに消滅しております

 

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