明治繊維産業資料一覧


秋田県視察報告

福井羽二重の発達

 
 井が羽二重で興隆すると、県外の府県から物産視察がたびたび来福することになる。香川県、福島県、栃木県など視察復命書が残っているが、実際はもっと多数の視察調査がおこなわれたのではなかろうか。
 明治26年の秋田県はそのはしりであろう。
 従来あまり知られていない秋田の報告書要約を掲載する。
 

 福井羽二重の起源及発達の原因

本県下羽二重織の起源は去る明治二十年三月福井市に於て職工会社率先し機業家數名の協議を以て群馬県下桐生森山芳平氏の職工高力直寛氏なるものを雇入れ各機業家集りて傅習したるに依れり然りとを雖も機具は常時桐生地方に於て羽二重織に用ゆる大和機具用いず佛式バッタン機具を以てせり又該機具を福井市に使用したる創始は去る明治八年福井市士族酒井功氏なるものの請願に依たり舊敦賀県より男女生徒二名と京都府勧業塲織殿へ入学せしめバッタン機具の織法を傅習せしめしに翌九年二月県廳派遺生を廢したるにより生徒両名修業中にして帰福す此時酒井功氏再び請願するに依り県費にてバッタン機具ニ臺を購入し同年十月に至り着荷す(此時敦賀廢県となり福井は石川県に属す)之を同人借用して同年四月前記生徒並に緑川祐之進氏(従来奉書袖縞を製造し該嘉に熟練のもの)をして福井市毛矢町石川県勧業試験分塲室内に於て該機具を試用す且つ同十一年春酒井功村野近良氏外二名か発起となる同士を募り十四名を以て資金若干を出し織工会社を組織す同年四月より機具十臺を備えて開業し綾地ハンカチーフ及び蝙蝠傘地を製造せり然るに職工の未熟なると機器の不完全なるとに依り精良品を製する能はず且僅々たる産出なるを以て各地に販売するも併せて聲價をなさざるにより常時会社に於て得失償はす以来漸く一ヶ年を経過したる社中解社を唱ふるもの七名ありて既に脱社す酒井功氏等残り七名は鋭意家財を挙げて社資に投じ機數を揩オ二十臺となし益々製品の改良を図り艱難辛苦して四五年を経過せしに明治十四五年の頃より之を傚ひ該機具を使用する機業家漸次攝Bし同年二十年に至りては機業家殆ど三十戸機數二百臺に昇り此間に産出する製品は重に綾地ハンカチーフ蝙蝠傘地のみにして時々販路渋滞を告げ或い價格に制せられて染色等粗製濫造の弊を生じ益販路を放害するなど営業者間に於て常に憂苦に堪へさりしに明治二十年羽二重織傳習以来下拵糊付等種々軽便の方法を新按したるにより倍々機業家を攝Bし同二十一年に至りて機數千五百臺に至り爾来毎年各郡村落等に攝Bして現今の擴張を爲せり

 

保護奨励の順序

地方税其他より支出の金圓及び其順序並に県會の意向羽二重等に對し県廳に於て奨励を爲し保護を加えたるは去る明治八九年に於て生徒二名を京都へ派遣しバッタン機具の織力を傳習せしめ亦該機具二臺を購入して福井市有志者に貸與せしに始まり爾来ハンカチーフ及び蝙蝠傘地を産出するに営たり粗製濫造の萠しめる時に際しては數回諭告を爲し同十八年該機業の率先たる職工會社資力欠乏維持苦むの塲合に於して士族授産金の内を以て四千圓を同社に貸與し之を救助するのみならず又別に機業の一社を創立せしめ之に對し一万四千圓を貸與して学業を奨励し如之同二十年一月羽二重織の技師を群馬県より聘雇する義に関しては営業者を県廳ら招集し製絹改良法を説諭せしことあり以来は年一年に製造家及機數を揄チするより奨励を加ふるの必要なく反して急剤の攝Bを防ぐに注意し既に設置してある同業組合取締方の成功を期せしめんか爲め二十五年度に於ては県費を以て金千圓を補助し同年絹織物組合取締規則を発布し営二十六年度に於ては製品検査方法等厳密を要する爲め金三千圓を下付することになせり而して県會の意向は本業に對して尤も重さを置き二十五年度の補助金は県會の建議に與り、二十六年度は原案二千圓に搖zしたるを以て知るへきなり

二十年の頃より年産出の統計明治二十年羽二重織創始以来産額及機數左の如し

 

年次 疋  數 機  數
20年 創始より不判明 全上(同左)
21年 7,154 1,507臺
22年 44,672疋 2,037臺
23年 87,286疋 2,900臺
24年 168,286疋 5,158臺
  此價格1,378,770圓  
25年 367,125疋 12,812臺
此價格2,779,875圓

 

荷為替等の便否並に之を爲するの手順

商業取引上に於て荷為替の便利なるは言を待たさる次第なれども本県下羽二重に係る荷為替は福井市九十二國立銀行支店との間に於て専ら行はるるものにて横浜へ廻送の羽二重を福井市銀行へ振込むときは為替手数料及廻送日數七日間日歩とを領収し價格の八分金を貸出し又福井へ向ける羽二重原料の生糸を横浜銀行へ振込むときも福井に於けると同様の都合にて営業者に取り尤も便利なるに付き横浜等より福井に出張店を設けたる商店等の取扱と雖も廻送方荷為替になし横浜福井間爾品の廻送は悉皆荷為替に依らさるなし尚双方銀行に於ても従来の為替に係るを以て便利を極め他方に向けるものよりは手数料等の幾分を減額しあるものならん

製造地の区域職工の賃銀之に従事する職工の現数製造地の区域福井市を中心とし現今に至りては県下若越二国各郡中に製造す其割合は県下全製造家数機数は福井市を四分とし各郡を六分とするの割合なり

職工の賃現は下拵を為すものにて一日平均拾五銭位にして職工は織揚げの疋により之により之と給し巾の大小に依り賃銀を異にするものにしてニ尺巾六丈物一疋に對し凡ろ五十銭巾の大小巧拙により遅速を生ずるもの通常ニ尺巾の者にて一日一丈を織りあぐるものなり

職工の現数は凡を一万三千人糸繰下拵の職工は調査したるものなれど職工の1割より減せさるべし

  
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